「まほろば」は、すばらしい場所や楽園という日本の古語。傷つき死に瀕したヤマトタケルが詠んだ「大和は 国のまほろば たたなづく 青がき山ごもれる 大和し美 (うるわ)し」という和歌には、どうしようもない望郷の念がにじんでいる。
紀伊半島南部にのみ自生するムラサキオンツツジが今、賀田で花盛りを迎えている。先週末行われた「賀田湾をながめてツツジを見よう」のイベントは快晴に恵まれ、花と新緑、青空、賀田湾の眺望がすばらしく、大勢の家族連れでにぎわった。
元々「浄の城つつじ祭」を開いてきたが、コロナ禍での中断後、規模を縮小して継続してきたという経緯がある。高齢化や過疎化が進む地域で行事を継続していくことは本当に難しい。
イベントでは賞品つきのダーツゲームにつられた子どもたちが元気よく公園内を歩き、きれいな景色に感動していた。この子たちが成長して地域を離れるとしても、あの日の曽根の美しさは、ふとした時に思い出すような「まほろば」になった。
(R)