来春の選抜甲子園の重要な資料となる秋季近畿地区高校野球大会が開催され、和歌山1位校の耐久高校がベスト4に入り、選抜出場が有力となった。耐久高校は湯浅町にある県立高校で、ペリーの黒船来航の前年1852年(嘉永5年)の創立。歴史ある学校だが、春夏通じてこれまで甲子園出場はない。また、県2位で出場した田辺は初戦で京都国際に延長戦の末2−3で惜敗したが、強豪校と堂々と渡り合った戦いをたたえる声が相次いだ。
和歌山の高校野球は古くは和歌山中(現・桐蔭高)、海草中(現・向陽高)が全国に名をとどろかせ、昭和20年代半ばから30年代はじめにかけては新宮が甲子園の常連となり、昭和54年には箕島が公立高校として唯一の春夏連覇を成し遂げた。平成以降は智弁和歌山が全国屈指の強豪となった。
最近では、市和歌山、和歌山東が打倒・智弁の筆頭格として存在感を見せていたが、今回、耐久と田辺の活躍は、ほかの公立高校にもチャンスがあることを示してくれた。野球王国・和歌山を勝ち抜くのは容易ではないが、来夏の地元勢の奮闘に期待したい。
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