原発の処理水の海洋放出が始まって1週間、中国から特に強い反発があり、水産物輸入の全面停止に加え、迷惑電話が相次いでいる。
福島県のニュースを調べると、いわき市のふるさと納税が海洋放出決定後通常の4倍、水産加工品会社のネット注文が5倍に増えているという。
新型コロナウイルスが拡大しだした頃、真偽不明な情報と誹謗中傷が流れた。SNSの不安をあおるような言葉たちはそれ自体が病原菌のように思えた。単なる体育館の清掃が「感染者が出た」と噂になり、確認に集まった記者の姿が拍車をかけたという事態もあった。
マスクの寄贈は多かったし、フードパントリーや公園の遊具の消毒のボランティア、医療や介護関係者の必死の献身も、販路拡大や業種変更で凌ごうとする事業者も見てきた。
コロナ禍で、世の中は善意だけでなく、悪意だけでもないことを学んだ。感染症としては油断できないが、日常生活はもう戻っている。海のまちに生きる者として、この苦境もまた乗り越えられると信じる。
(R)