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社説「ジオと世界遺産 相乗効果へ連携を」

 コロナ禍で苦しんできた宿泊観光業などを支援するため、観光庁は10月11日から、旅行代金の割引を行う補助事業「全国旅行支援」を行う。観光が主産業の一つである当地方にとって、大きな起爆剤となることが期待されている。

 人口減少が続く当地方にとって、地域経済を循環させていくためには観光による外貨獲得が必須。ウイズコロナに対応する観光形態の確立が求められるが、一つの自治体や団体で取り組むよりも、地域全体で連携していくことが競合する観光地に勝るために必要ではないか。

 先日、世界ジオパーク認定に向け国内推薦を申請していた「南紀熊野ジオパーク」に関して、日本ジオパーク委員会は推薦を見送る判断を下した。その理由の中で、地質遺産の国際的な価値の共有が不十分で、管理運営体制の改善も求められることや、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」、ラムサール条約登録湿地との相乗効果を生み出せていないことなどについて課題があるとした。

 和歌山県や地元自治体などで構成する、南紀熊野ジオパーク推進協議会は今回の結果を受け、地域によって温度差があることを認め、再申請までに課題を分析し、地域を盛り上げながら住民の認知度を高めていく考えを示した。また、ガイドの会の会長は「世界に打って出るにはもう少し時間がかかる」とし、同様に地域との連携の必要性を強調した。

 南紀熊野ジオパークは、紀南地方の和歌山県内9市町村と奈良県十津川村にある地質遺産など107のジオサイトで構成。2014年8月に日本ジオパークに認定を受けた。8年が経過するが、この間、活動の拠点施設となる南紀熊野ジオパークセンター(串本町潮岬)を2019年7月開設。ガイドの養成講座や各地のジオサイトを巡るツアー、学習用ハンドブックの制作・配布や出前授業などを実践してきた。ガイドは100人を超え、センターの来場者もコロナ禍で一般が伸び悩む中、修学旅行生が多く訪れるなど光明も見られた。

 一方で、今回見送りの理由の一つに示された、「世界遺産」との相乗効果という部分では、観光客に目に見えて分かりやすいプランというものがまだまだ見いだせていない。地域を盛り上げるということでは、各自治体の広報紙でもっとPRすることが必要で、出前授業も地域内の学校を全て巡回するぐらいの意気込みがほしい。

 また、現在は県職員が担当している推進協議会事務局に、構成各自治体から職員が出向し、相乗効果を意識した観光戦略を打ち出しながら、関係団体など民間にもその流れを浸透させていくという方法もある。そのためにはまず、首長同士が、この地域の観光発展のために世界ジオを目指すという共通認識をもち、リーダーシップを発揮することが必要ではないか。

      9月30日の記事

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