尾鷲市と紀北町の教育委員会が4月に行われた全国学力・学習状況調査の結果を公表した。学力調査については国語、算数・数学、理科で行われ、尾鷲市では全科目で、紀北町は中学校の数学を除いて全国平均正答率を下回った。紀北町の状況は、三重県全体の結果と一致した傾向となっている。
対象となった小学6年生、中学3年生の人数はそれぞれ100人前後で、一人の成績が数値に与える影響は大きいことに注意が必要だが、大きく見ると
- 算数・数学より国語の得点が少ない
- 小学生で全国平均との差が大きい
—という結果となった。
特に、尾鷲市は小学校の国語のスコアが、全国平均を100とした指数で93、算数が94と低くなった。平成29年から少しずつ全国平均に近づいていた成績が、落ち込んだ。
新型コロナウイルス感染症で特に一昨年は、これまで通りの授業ができなかったが、それは全国的な話で、文部科学省も学力調査の結果に関しては、コロナ禍の影響はないとしている。
市教委のレポートによると、小学校では全国平均正答率を20ポイント以上下回っていた問題が複数あり、中学校でも10ポイント以上下回った問題が散見される。当該学年の弱点解消はもちろん、他の学年の子どもも同様の課題を抱えていないかを確認する必要がある。
テストの問題が解けるといった学力は全てではないが、社会に出ても必要とされる能力である。アンケートに「授業で学習したことは、社会に出たとき役立つ」という質問があり、そう思うと回答したのは小学生で83.9%、中学生で84.4%だった。尾鷲市では、中学3年生のスコアが、小学6年生のころより伸びている傾向がある。3年間の学習で「腑に落ちる」経験を積んでいるものと思われる。
新しい知識を得るのは楽しい。大人になっても同じである。子どもが前向きに学習に取り組むには、保護者や先生、教育委員会をはじめ、大人も努力が必要。子どもたちに楽しく学んでもらえる条件整備を求めたい。