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紀南抄「言葉との出会い」

 取材をしていて、いろんな言葉を教わる。
 
 24日は地蔵盆で、新宮市の三輪崎区内の地蔵を宝蔵寺の中島正法住職が訪ね、法要を営んでいた。その中で「疾風に勁草(けいそう)を知る」という言葉を教わった。住職いわく、強風のような困難があった時、踏ん張ると飛ばされてしまうため、ランの花など小さな植物のように受け流すことが大切という。調べると古い中国の教えで「激しい風が吹いてはじめて丈夫な草が見分けられる。苦難にあってはじめて、その人の節操の堅さや意志の強さがわかる」という意味があるらしい。近い意味で「柳に風」というのもある。住職は誰にでも良い顔をするという面もある一方、かたくなになって銃を持つよりはよいと説いた。
 
 先日新宮市立総合体育館で行われた少年剣道の交流会では、新宮剣友会の宮戸伸之会長から「剣交知愛」という言葉を教わった。「剣を交え愛(お)しむを知る」という意味で、愛しむとはすなわち惜別、転じて互いに理解し相手を重んじることを意味しているようだ。
 
 記者は言葉を扱う仕事である。辞書を開くようにまちを歩き、言葉との出会いも大切にしたい。
 
【稜】

      8月25日の記事

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