新聞の価値はなんだろうか。今は全員がカメラ（スマホ）を持ち歩き、自分のメディアを持っている時代。情報を得ようと思えば手段は豊富で、マスメディアは選択肢の一つにすぎない。

　マスメディアの価値を再定義する必要が生じている。私はそのヒントが、情報の「ランダム性」と「鮮度の高さ」にあると思う。

　インターネットは、自分の興味のあるものを選択的に提示してくれる反面、それ以外のものは出てこない。テレビや新聞は、個人の興味・傾向にかかわらず情報を提供するため、そこで新たな刺激や発見が出てくることがある。それが情報のランダム性である。

　また、情報の信頼性を測る一つの指標は、誰が得た情報かということだろう。「誰かがこう言っていた」というのと、自分で足を運んで「これを見た」というのでは違う。伝達手段を介すほど信頼性が下がっていく。これが情報の鮮度であり、新聞は記者が実際に取材に行ったものを主に取り扱っている。インターネットでは、根拠のない情報が真実のようにまかり通ってしまうことがある。

　メディアが民主化した今だからこそ、マスメディアの価値を改めて問いたい。

【稜】