2008年4月に当地方最初の高規格幹線道路である尾鷲南—三木里間が開通した。あれから13年余、熊野尾鷲道路が全線開通し、熊野大泊までが全国の高速道路ネットワークとつながった。
かつて話があったのが三木里インターチェンジ(IC)にある国土交通省用地への道の駅の設置。道路建設に伴う土捨て場の有効活用が目的だったが、結局は実現しなかった。
同じように、土捨て場の有効活用で整備されたのが始神テラスのある紀北パーキングエリア(PA)。町の玄関口の一つとして来訪者を受け入れ、町の魅力を伝えようと整備に力を入れた。平時は道路利用者の休憩の場、災害時には道路啓開や救援、救護活動拠点として利用できるように整備された。
一般道路の道の駅や高速道路のPA、サービスエリア(SA)の設置には距離の目安があり、高速道路のPAは約15キロ、サービスエリア(SA)は約50キロ間隔を目安に、路線の特徴などを総合的に勘案して設置する場所を決めている。熊野尾鷲道路は一般道路ながら、高速ネットワークの観点から見ると、奥伊勢パーキングエリア(PA)—紀北PA間が約34キロ、紀北PA—三木里IC間は約24キロ。御浜町や紀宝町では町内に休憩施設の整備に動き出しているが、紀北PAからの距離を考えると三木里は程よい位置。上下どちらにも行けるフルインターで、尾鷲をPRする格好の場所になったほか、通行するドライバーにもより優しい道になっていた。
熊野尾鷲道路や紀勢道の無料区間には、紀北町にある道の駅海山やマンボウをまでの距離を知らせる案内板もあるが、道の駅がない尾鷲市にはそれもない。SNSなどで情報発信するなど努力は認めるが、ただ通り過ぎる車を、指をくわえてみているだけといっても過言ではない。
行政は一度断ると、その後の実現はほぼ不可能。首長たるもの、現状だけを見るのではなく、数年、数十年先を見越し、広い視野で必要なものの実現に力を注がないと、地域経済は沈む一方である。