16日に開かれる法制審議会で、刑法の侮辱罪の厳罰化が審議される。インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷に歯止めをかけるため、現行法で「拘留または科料」としている刑罰を「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」に改正するもの。
刑法の改正には国会での可決が必要だが、諮問通りに法定刑が引き上げられると、公訴時効は現行の1年から3年に延びる。インターネットで誹謗中傷トラブルが後を絶たない理由の一つとして、名前や顔を簡単には知られることなく発言できる「匿名性」が挙げられ、特定などに時間がかかって被害者が泣き寝入りするケースが多いとされるが、時効の延長は立件の可能性を増やすことで抑止や救済につなげる狙いもあるという。
ツイッターで被害を受けた女子プロレスラーが命を絶ったことが厳罰化の一つの発端となっているが、芸能人ばかりではなく、誤った情報に基づいて全く関係のない一般人に対する誹謗中傷もあり、それをうのみにして〝善意〟や〝正義感〟で拡散する人も後を絶たない。ルールやモラルを守ることが大切で、被害がなくなることを期待したい。
(J)