4期目への出馬を正式表明した尾上壽一紀北町長の記者会見で、3期12年間で感じたことを問うと、「紀北町は同規模の町が一緒になったので、一体感の醸成に努めてきた。感性や風習は別として、行政として一つの紀北町となるよう配慮してきた」と振り返った。「合併の難しさがあった一方、合併特例債でまちづくりが進んだ面もある」とも。
国主導の市町村合併は明治、昭和、平成の3度行われてきた。令和の大合併があるかは神のみぞ知ることではあるが、人口減少が進む中、従来の枠組みを越えた行政の広域化は、今後の重要な課題の一つだろう。
東紀州5市町の広域ごみ処理施設、多気のVISONを中心としたスーパーシティ構想など、既に議論が始まっているものもあり、それぞれの地域の特色や事情をくみ取りながら調整する作業が必要となっている。
行政の広域化が進むとして、それぞれの地区に根付く多様な文化の存在を忘れてはならない。その土地ならではの祭りや行事は、郷土愛や良好な人間関係を育み、Uターンのきっかけや、地域社会の担い手づくりにもつながる。いかに文化や伝統を守っていくかを考えていかなければならない。
(R)