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紀南抄「当事者意識という防災」

 「当事者意識」という防災があると思う。
 
 新宮署で24日、紀伊半島大水害を風化させないための講話が行われた。登壇したのは、「那智谷大水害遺族会」代表の岩渕三千生さん。1つ1つの出来事を思い出しながら、当時の光景・状況をありありと語った。
 
 災害当初から現場で捜索活動や復興にあたったという。話から、すべての状況を自分事としてとらえ、できることを即座に行動に移していったのだろうと感じた。
 
 言われたから行動するのでも、止められたからやめるのでもなく、今起きている状況に素直に反応するということが、身を守る。「人なんかあてにしたらあかん。身の回りに起こっていることから自分で判断しなければ」の言葉に力がこもっていた。
 
 災害時には行政から「避難指示」などが出るが、災害発生から発出されるまでにはタイムラグがある。いち早く逃げる判断は自分でしなければならない。「自分の身は自分で守る」という自助の考え方は、被災国・日本が困難な歴史を積み重ねなんとかたどり着いた祈りにも近い結論だ。身の回りの状況をいかに自分事として落とし込めるかが、生死を分かつことがある。
 
【稜】

      8月26日の記事

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