東日本大震災からまもなく10年。テレビを通して見ただけだが、津波のすさまじさは目に焼き付いて離れない。訓練や防災講演会などを取材すると、家が流される様子が映されることがある。撮影している人の喪失感はいかばかりか。
大震災をきっかけに津波対策が一気に加速した。あちこちで避難路や避難タワーが整備された。一方で、さまざまな事情で安全な避難場所が近くにない地区もある。少なくとも過去最高の津波に対して備える必要があるだろう。
先日、尾鷲小学校の子どもたちが市道で標高ラインの塗り直しを行った。きれいに引かれた線を見かけ、この辺りはこのくらいの高さなのか、とあらためて意識した。
昨年来、新型コロナの関係でさまざまな行事が取り止めになった。防災訓練などもその限りではない。3・11に合わせ、本来なら全国各地で訓練やシンポジウムが行われただろうが、3密を避けるために大規模な取り組みは見送られている。
地震はいつ起きるか分からない。先日も福島県沖でマグニチュード7・3の地震があった。大震災から10年を機に、訓練などはなくても、意識だけでも再度高く持っておきたい。
(M)