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紀南抄「主権在民」

 明治時代に神社合祀(ごうし)政策という出来事があった。これは、各集落ごとに数々ある神社を合祀して、一町村一神社を標準とせよというもので、和歌山県はとくに強制威圧的に推進しようとした。これに激しい反対運動をした人物がいる。南方熊楠だ。
 
 昭和8年、京都帝国大学教授で刑法学者の滝川幸辰を文部省が一方的に休職処分にした「滝川事件」(京大事件)があった。これに対し同大学法学部の全教官は、大学の自治を侵害するものとして抗議のため辞表を提出。学生らも「学問の自由」を守ろうと運動に加わった。
 
 現在、日本学術会議が推薦した6人の候補が、説明のないまま任命を拒否されるという問題が起きている。100を超える学会から声明が上がり、『日本会議の研究』で知られる著述家の菅野完氏は国家の統治のありかたを根底から覆す暴挙として官邸前でハンガーストライキによる抗議に及んでいる。
 
 国家を統治するための、最も大きな権力は国民が持っているという考えが「主権在民」。国家が間違った方向に進もうとするとき、民が権利を行使して止めるしかない。
 
       【茂】

      10月15日の記事

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