新宮市立高田小学校の手話教室にお邪魔した。聴覚障害者協会の阪井冨枝さん、通訳を担当する西佐暢子さん、下前啓子さんが児童に「手話を知らなくても伝える方法がある」とコミュニケーション方法を教える授業だった。
阪井さんの半生を伝えたあと、阪井さんの長女の作文が紹介された。子どもの学校の発表会に行くと、手話で歌を歌ったりしている。普通の人からすると「幼いのによく覚えたね」などと、感心するところだろう。しかし、子どもたちは自分たち自身が手話で歌いたいと考えているとは思えない。先生が手話に関心があるだけではないのか。本当に興味を持ち、手話を覚えたいと思う子どもなら発表会以外でも覚えるのでは。子どもたちの手話が遊び半分に思えてしまって、つらい気持ちになると綴られていた。長女には3人の子どもがいるが、完璧な手話で両親(阪井さん夫婦)と会話しているわけではないとし、本当に会話がしたいと思えば、手話を使わなくともできると訴えていた。
手話奉仕員養成講座を挫折した自身にとって、光が差し込んだ瞬間だった。
【茂】