「命の危険を感じる暑さ」という報道が連日されている。梅雨明け以降、日本列島は太平洋高気圧に覆われ、猛暑、酷暑が続き、本紙エリアでも熱中症での救急搬送が増加している。新型コロナウイルス感染対策のため、マスクの着用がすすめられているが、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあり、場面に応じた判断が必要か。
厚生労働省は、猛暑日のマスク着用について、「屋外で人と十分な距離(少なくとも2メートル以上)が確保できる場合には、マスクをはずすように」と呼び掛け。やむを得ずマスクを着用する場合には「強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけて」と強調している。
新宮・東牟婁の学校ではすでに2学期が始まっている。各教室にエアコンは完備しているものの、感染防止対策で換気しながらの使用、また、猛暑の中の登下校を心配する声もある。神倉小では、校舎横にミストシャワーを設置し、体育や休憩時間に使用。児童の下校時間には教職員が校区内の交差点などに立つなどして子どもらの安全を守っている。気象庁によると、今週末は久々の雨の予報もあるが、週明けからは再び暑さが戻る見込み。コロナと共に過ごす異例の夏はまだしばらく続き、両方への対策が必要だ。
新型コロナの感染拡大も止まらない。和歌山県内では田辺市の店舗でクラスター(感染者集団)が発生。真砂充敏市長は、カラオケ店や夜遅くまでの飲食店の利用を当面の間自粛するよう求めるとともに、インターネットで一部の感染者が中傷されているとして、「誰にでも感染リスクはある。助け合ってほしい」と訴えた。
感染者への差別禁止を求める動きでは、茨城県が県独自の条例を制定する考えを示した。感染者や医療従事者らへの差別的な取り扱いを禁止することなどを盛り込んで、10月ごろの施行を目指すが、住民への意識付けという部分で有効な手段といえる。地方の小さなまちほど、感染者が出ればその人物を特定しようとする動きが出る。一人一人の人権を守るのは行政の役割。本紙エリアの自治体も、手段の一つとしての条例制定を検討してはどうか。