各自治体で6月定例議会が始まっている。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ地域経済を回復させるための支援策や、出水期を迎え避難所の3密(密閉・密集・密接)を回避するために宿泊施設への避難を選択肢の一つに促進する施策など、各当局提案の議案審議が続いている。
和歌山、三重ともに新たな感染者の発生がしばらくの間、確認されておらず、近隣府県の様子を見ても落ち着きつつあるのは明らかだが、第2波、第3波への警戒を緩めるわけにはいかず、各自治体は引き続いての感染防止対策を呼び掛け。併せて、コロナ禍での避難所の3密回避や熱中症対策にも注力している。
人々の意識はコロナと熱中症に大きく傾いているが、これからの時期、土砂災害や洪水への意識も持たなければならない。当地方は2011年9月に「紀伊半島大水害」に見舞われ、土砂災害や洪水の恐ろしさを目の当たりにした。しかし、時間の経過とともに人々の記憶は薄れていくため、意識付けを促すのも自治体の役割の一つだ。
近畿・東海ともに10日に梅雨入りし、このところしばらく雨が続いているが、一般的に時間雨量で20ミリ、連続雨量で100ミリを超えると十分な注意が必要とされる。ただし、少量の雨でも長く降り続けば地盤が緩み、続く少しまとまった雨で崩れる可能性もある。また、雨が上がったあとに土砂崩れが発生するケースもあり油断はできない。
災害時の避難は、気象庁の発表する警報や自治体の出す避難勧告等が目安になるが、大切なのは自分の住んでいる地域の危険箇所を事前に把握し、早めの避難行動につなげること。一人一人の意識付けが被害ゼロにつながる。
6月は国が定める「土砂災害防止月間」。那智勝浦町市野々には、紀伊半島大水害の教訓を生かすため、和歌山県が土砂災害啓発センターを設置し、啓発や研究活動の拠点としている。現在、特別パネル企画展を開催。「どこが」「いつ」危険で、「どこへ逃げるか」を図で解説し、各自治体の地図には危険箇所等を記しているほか、土石流、がけくずれ、地すべり、深層崩壊の様子を映像で流すことでその危険性を伝えている。この機会にぜひ訪れ、土砂災害への意識を高めてもらいたい。