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社説「和歌山県の対応 後手に」

 新型コロナウイルス感染拡大による国の緊急事態宣言は、14日に和歌山や三重など39県で解除された。残る8都道府県は継続となったが、国は21日めどに再度解除の可否について判断するとしている。元通りの日常へは、感染拡大の第2波に十分注意しながら、段階を踏んでいかなければならない。一人一人の感染予防対策は緩めることなく続けていくことが、早期の終息につながる。

 今回の新型コロナへの国や自治体の対応について、国民はさまざまな思いを抱いている。全員が納得する施策はありえないが、このような緊急事態で最も大切なのはスピード感だろう。それができたかどうか、終息後にはそれぞれ検討する必要がある。
 
 和歌山県は2月に湯浅町の医療機関で医師や入院患者などが集団感染する事態に見舞われたが、政府の指針に従わずに知事のリーダーシップのもと封じ込めに成功し、約3週間後には安全宣言を出して通常の診療を再開した。その取り組みは米紙で賞賛され「和歌山モデル」という言葉まで出た。
 
 ところが、その後の和歌山県の対応は後手に。緊急事態宣言が全国に拡大されたあと休業要請を出すまでにしばらくかかり、要請は出したものの休業保障は伴わなかった。隣の三重県がいち早く休業要請と協力金をセットで打ち出したのと比べると、不満の声が上がるのは必然か。
 
 また、県立高校・特別支援学校の臨時休校の判断については失態をさらした。県内一斉休校にせず、新宮・東牟婁地域で感染者が発生していないことを理由にエリア内の4校を対象から外したというもの。田辺市や三重県尾鷲市で感染者が確認されているにもかかわらずの判断には、この地方を”見ていない”と言われても仕方ないだろう。結果、生徒や保護者、学校関係者から不安の声が続出し、高校の女子生徒がSNS上で休校を願う署名活動を展開したこともあって県は急ぎ態度を変えたが、不信感を募らせた県民は多い。
 
 このほかにも、県外ナンバーの車を使用する県内在住者に対して確認書を発行する施策を今月7日に開始したが、県外からの来県自粛を求めていた大型連休前には実施すべきだった。県にはいま一度、スピード感をもった対応を強く意識してもらいたい。

      5月15日の記事

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