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"知の巨人"の関係性は 南方熊楠と柳田国男に迫る 東大人文・若手国際フォーラム

 東京大学の留学生らが自身の研究について発表する「東大人文・若手国際フォーラム」が16日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であった。約50人が聴講。基調講演では東京大学執行役・副学長の佐藤健二さんが「南方熊楠と柳田国男」の題で、2人の知の巨人の関係性に迫った。留学生らは、一般向けの研究報告として、わかりやすく伝える工夫を試みた。
 
 新宮市と東京大学は連携協定を締結している。今回は、東京大学大学院人文社会系研究科が15日から18日まで、新宮市を拠点に行う「熊野体験研修」のプログラムの一環。主催は新宮市と東京大学の同研究科・文学部。
 
 基調講演を行った社会学者の佐藤さんは、日本民俗学の父と呼ばれる柳田国男の研究で著名。今回は柳田と、同時代に生きた紀州の"知の巨人"南方熊楠との交流や対立、協力といった関係性について語った。
 
 佐藤さんは、2人の共通点として、書物を広く読み豊かな知識を持つ「博覧強記」であったこと、書物の倉の中でおぼれるように読むという学び方をしていたこと、「不思議」に挑む学問的好奇心が強かったことの3点を挙げた。
 
 2人は15年に及ぶ書簡(手紙)の往復によって交流していたという。初期の話題は山の神事と関係のある「ヲコゼ」や「山人」についてだった。その後、1906年からの「神社合祀」という行政の動きに反対運動を展開する南方を柳田が後押ししたという記録も残っている。後期には、柳田が手掛け、南方も寄稿していた雑誌「郷土研究」の編集方針を巡って意見の対立が見られた。
 
 柳田は「どうしたら南方さんのような方を、日本の文化科学の上にほんとうに作り得るか」という課題意識を持っていた。柳田国男全集の編さんにも携わった佐藤さんは、その課題と全集作りの意義を紐づけ「もう一人の南方熊楠、もう一人の柳田国男を構想する素材として全集があるべき。その中には、本人たちが知らなかった本人も含まれる。その意味で、全集はある閉じられた業績ではなく、可能性を考えるための素材として共有されなければいけない」と論じた。
 
 その後、講演・講話を経て、留学生5人が順に登壇した。中国・北京出身の高芃禹(コウ・ホウウ)さんは「中国語史と日本漢字音の視点からみた宗教史—「補陀落」を例として」の題で研究報告。特に言語の音に着目して、「補陀落」の言葉を題材に、日本語と、中国語と、元となったサンスクリット語の比較を行った。

      新宮市

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