新宮港港湾保安委員会は21日、新宮港三輪崎第4号岸壁で、「令和6年度新宮港テロ対策訓練」を行った。海保や警察、税関、行政など関係する11機関約70人が集まり、5つのテロ対応の場面を想定した訓練を行い、連携強化を図った。
テロ事案に対する関係機関の対応をお互いに確かめ合い、各機関の連携を一層強化し、テロ関係事案に的確に対応するため、毎年行っている。
はじめに、同委員会の委員長である和歌山県の笹山真一新宮建設部長と、新宮港港湾危機管理担当官である杉山陽二郎田辺海上保安部長があいさつ。日本を取り巻く国際情勢が厳しくなっている中、新型コロナによる入国制限の緩和以降、外国人観光客が増えており、来年4月からは大阪関西万博も控えていることから、各機関が連携を強めることが重要だとした。
訓練では
- 巡視艇による不審小型ボートの発見、追跡、逮捕
- 入国審査での不審な旅行者の発見、逮捕
- 手荷物検査で旅行者の所持品内から拳銃発見、逮捕
- 船内で不審な旅行者を捜索、逮捕
- 船上で時限発火装置による火災が発生、負傷者の救助と消火
—の5つの場面を想定した。
テロリストの逮捕の場面では、盾を持った警察官や海保保安官が抵抗する対象を取り押さえる様子を本番さながらに再現し、パトカーで駆け付けた新宮署員に引き渡すところまでを行った。
船上火災の訓練では、初期消火に当たった船員が煙を吸って倒れたことを想定し、新宮市消防本部の救急車が駆け付け、海上保安官と救急隊員が声を掛け合って要救助者を運び出した。その後、海保の巡視艇から放水し消火する想定の訓練も行った。
訓練講評は、新宮警察署の矢野勝正署長の代理で湯庭大悟警備課長。世界情勢を見るとイスラエルとパレスチナ武装勢力の武力衝突など混沌としており、それに伴い各国でテロが発生するなど、厳しい状況にあるとし、今回訓練に参加した各機関には、今後の水際対策に万全の態勢で臨めるよう取り組んでもらうようお願いした。