尾鷲市の馬越峠で2日、クマによるけが人の救助を想定した合同訓練が行われた。警察や消防、猟友会、行政職員約30人が連携し、安全を確保しながら負傷した古道客を救助する手順を確認した。
馬越町の馬越公園から100メートルほど登ったところで、クマに襲われて足を負傷した古道客から110番通報を受けたという想定で実施。馬越公園に本部を設置し、クマ対策班と救助班の2班に分かれ、連携しながら救助に当たった。
まずはクマ対策班が先行。シールドと小手、ヘルメットで防備を固めた警察官が警戒する中、猟友会がクマ対策用の花火でクマを追い払って安全を確保し、負傷者の名前を呼びながら進んだ。
救助者を発見すると、警察や猟友会が警戒を続ける中、駆け付けた救助隊が応急処置を実施した後、要求救助者を支えながら下山した。
尾鷲署の田中良純署長は「管内は県内でもクマの目撃情報が突出しており、秋の行楽シーズンで登山者が増え、クマ対策が喫緊の課題となる。万が一のため、日ごろの訓練が重要で、この地域特有の危険な状態を想定しながら、連携を深めていきたい」と述べた。
また、県農林水産事務所の担当者がクマの発生状況を説明。紀伊半島に生息する個体群は40年ほど前は180頭しかいなかったが、一昨年の調査では468頭と2.6倍に増加した。それに伴って出没件数も増加し、2023年までは年間20~30件だったが、24年に162件に急増。本年度は10月1日時点で67件で、そのうち6割の39件は尾鷲管内が占めている。
クマ対策として、昨年9月から人の生活圏に出没した大型野生動物を安全確保の上で駆除する緊急銃猟が実施されたほか、三重県もクマを貴重野生動植物の指定を外し、問題個体の積極的な捕獲、個体数の調整を行うよう方針を転換している。なお、尾鷲市や紀北町では今月19日までクマアラートが発出している。
