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日常の延長意識した計画に 事前復興まちづくりで勉強会

 津波からの事前復興まちづくりを語る集いが5日、尾鷲市立中央公民館で開かれた。約70人が、能登半島地震や紀伊半島大水害で大きな被害を受けた奈良県十津川村の復興を踏まえ、「部分からの段階的な事前復興まちづくり」について理解を深めた。
 
 同市の三木里地区会が主催した。同地区では昨年から、日本都市計画家協会の出前講座をきっかけに、地域の防災力向上に取り組んでおり、これまでの検討結果の報告や意見交換を行った。
 
 最初に、日本防火技術者協会の関澤愛理事長が能登半島地震での消防活動について、愛知工業大学の益尾孝祐准教授、益尾研究室の丹羽菜々美さんと久保田華帆さんが三木里地区での取り組み経過を発表した。
 
 三木里地区での取り組みについて丹羽さんと久保田さんは「大規模造成や防潮堤の整備に頼るのではなく、地域資源を生かしながら住民主体で、部分改善型事前復興まちづくりの実装化・モデル化に取り組んでいる」と紹介。事前復興については「災害が発生した際のことを想定し、被害の最小化につながる都市計画やまちづくりを推進すること」と説明した。
 
 方針に関しては「日常での課題・災害時に想定される課題を併せて検討することで、日常の延長線上に行うまちづくりを提案する」とし、具体的な取り組みとして
  • 避難協定締結による避難経路の改善
  • 高台の歴史的建造物の空き家活用
  • 高台の旧三木里小学校の防災拠点化と利活用
  • 避難困難な福祉拠点の高台移転の検討
  • 三木里防災観光まちづくり会社の組成とマネジメント
—を挙げた。空き家活動については、本年度に地区内の全ての空き家を調査し、次年度以降の改修・利用につなげたいとした。
 
 意見交換では東京科学大学の真野洋介教授が、三木里地区はコンパクトでシンプルと印象を語り「大規模に避難者があふれることはなさそう」と述べた。一方、つながりの強い地域にありがちなこととして、自治会の班などが細かすぎる事例を紹介し、ある程度の規模があればいろいろ(共助が)できるとの見方を示した。
 
 三木里地区会の中村レイ会長は、昭和19年の東南海地震の時はJRの線路がなく高い場所に逃げられたが、線路が避難ルートを分断していると説明したほか、急傾斜地の擁壁があり古い建物も多く「逃げるルートが問題」と語った。
 
 真野教授は、避難所の快適さも、より多くの人が避難する要因になると指摘し「ちょっとずつ(地域に合うように)変えていけばよい」と助言し、空き家活用による避難所確保の考えを推奨した。避難路整備については「空き家改修の補助予算はあるが、道の改善の予算は弱い」とし、大きな課題との認識を示した。明治大学教授で日本都市建設家協会会長の山本俊哉さんは「(災害が起こっても)日常の延長であることが災害関連死の減少につながる」と話した。

      尾鷲市

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