尾鷲市向井の三重県立熊野古道センターで企画展「熊野の城 山城から歴史を紐(ひも)解く」が行われている。東紀州には約80の城跡があり、写真や縄張り図、赤色立体図(立体地形表現図)などでそれぞれの城の概要を紹介している。12月8日(日)まで。
中世までの日本の城は、山城や居館跡を含めて全国で4~5万あったと考えられている。その後、江戸時代初期までに、天守閣を持つ400城ほどの近世城郭が建造された。
江戸時代の「一国一城令」や明治時代の「廃城令」により多くが失われ、太平洋戦争ではアメリカ軍の空襲もあり、昭和まで残っていた建物も失われた。現在、中世末期から江戸時代末期までの天守閣が残っているのは12か所しかなく、東紀州地域では建物が残っている城跡はない。
主な展示は、各城に関する解説パネルと、矢口城跡、鵜殿城跡や周辺から見つかった陶器類。担当した嶋田仁志さんは「3月か4月ごろから着手した。現地調査も行っていたが、クマアラートが出たので、その後は山の中に入るのは自粛した」と話す。薮になっている場所が多いという。
東紀州の城の特徴として「地質的に、山に石が多い。そのような大きな石を、いわゆる本丸の防御施設として構築しているのが興味深い」と話している。
赤色立体図は航空レーザー測量の結果を、赤色の濃淡で表現したもので、従来の地形図では分からない細かな地面の形も把握できる。遺跡や古墳調査などにも活用されている。
付属事業 講演会
11月24日(日)午後1時30分から、元県立高校校長の伊藤徳也さんによる講演会を開く。県内の中世城郭の分布を概観した上で、東紀州の城の姿を紹介する。また、消滅してしまった城や詳しいことが分からない城の復元、未知の城を見いだす手法についても取り上げる。定員は申し込み先着80人。締め切りは23日(土)午後5時。
知られざる熊野探訪ツアー
関連して23日には知られざる熊野探訪ツアーを行う。熊野市の大日山城、城之腰城、鬼ヶ城、赤木城を巡る。定員は15人。申し込み多数の場合は抽選。締め切りは9日(土)午後5時。
申し込み、問い合わせは同センター(0597-25-2666)。