紀北町社会福祉協議会による「ささえ合い講座」の本年度第1回講座が6日、相賀の町生涯学習センターで開かれた。住民21人が町の現状や全国各地の取り組みについて知識を深めた。
日常生活でのご近所への声掛け、ちょっとした手伝いなど、「困ったときはお互いさま」の地域をつくる目的で、昨年度全4回の連続講座を紀伊長島地区で開いた。本年度は海山地区で全3回の講座を開く。
まず同社協の地域支え合い推進員が町の現状を説明。高齢化率は46.9%と、全国の29.1%と三重県の30.6%に比べ高い水準であり、南伊勢町と大紀町に続いて県内3番目。令和4年10月からの1年間の死亡数と出生数の差の自然減は270人で、転入者398人から転出者450人を差し引いた社会減は60人と、自然減と社会減とも止まらない現状を示した。
紀北町は、住民主体の通いの場の参加率が1.3%で、三重県の3.3%、全国平均の6.2%より低く、要介護認定率は全国や県と比較して高いことを紹介した上で、「自分らしく健康で暮らし続けるためには、地域の人と人がつながって役割を持ちながら生活を送ることが重要。生きがいが心と体の健康を高める」と述べた。
昨年度の講座の講師を務めた、公益財団法人さわやか福祉財団の髙橋望さんが『地域でのささえ合い活動を知ろう』をテーマに、全国各地の取り組みを紹介。奈良県生駒市や徳島県藍住町、静岡県袋井市、福岡県福津市、北海道池田町などの取り組みを説明した。
福津市に関しては、「暮らしのサポートセンターサンクス」を立ち上げ、目標とする地域像を共有し、生活支援サポートをする「おたがい様隊」、移動販売の進展、交流を図る「じっちゃん婆(Bar)」といった活動に発展したことを紹介した。
池田町では、老人クラブ連合会が「LOREN(老連)支え合いパートナー制度」を導入している。ごみ出しや買い物代行、掃除、代筆など、チケット制の取り組みで、活動費は地域通貨で支払われる。支え合いパートナーの「高齢化率が高いので、元気な高齢者が、体調を崩した人の支援をすることは自然なこととして、これからもやっていきたい」というコメントを取り上げた。
髙橋さんは「ささえ合い活動は住民がもっと積極的にやってもよい、ととらえてほしい。全国の事例のいいところを取り入れていけば、紀北町が楽しくなり、生活が豊かになる」と呼び掛けた。
今後について、2回目は尾鷲市の事例の説明を受け、3回目は町内の取り組みを紹介する予定。