災害時は一時的な避難場所に
和歌山と三重の県境を結ぶ熊野川河口大橋を含む「新宮紀宝道路」の開通日時が12月7日(土)午後3時に決まった。国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所が7日に発表したもので、当日は午前10時から紀宝町鵜殿の町生涯学習センターまなびの郷で関係者による記念式典と、紀宝鵜殿IC(インターチェンジ)付近でテープカット、渡り初めなどで祝う。また、紀宝鵜殿ICに接続する三重県道の紀宝川瀬線も同日に開通する。
新宮紀宝道路(紀宝IC~新宮北IC間)は、紀宝町神内から新宮市あけぼのに至る延長2.4キロの自動車専用道路。紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線の一部として平成25年度に事業化、同29年度に工事着手し、今年秋の完成に向けて工事が進められてきた。
南海トラフ地震の津波などの浸水に対応できる高さを確保しており、大規模災害時には緊急輸送道路や一時的な避難場所として活用する。朝夕を中心に交通量の多い時間帯の渋滞緩和に期待がかかるほか、新宮市立医療センターと紀南病院(御浜町)の間の交通の便が改善し、車での移動時間が現状より8分短縮の23分になる見通し。
■両県知事が談話
国交省の開通日時の発表を受け、和歌山、三重両県の知事がそれぞれ談話を発表した。ともに地元の熱意や多くの関係者の尽力に対して感謝と敬意を表しながら、開通後の地域振興や観光活性化、さらに災害時の「命の道」としての役割に期待を寄せた。
その上で、和歌山県の岸本周平知事は「県としては、企業立地や産業振興、活力ある地域づくりとして、また、南海トラフ地震などの大規模災害に備えた『半島防災』の観点からも県内の高規格道路ネットワークの整備は不可欠であり、紀伊半島一周高速道路の早期完成に向けた事業推進に今後も積極的に取り組みたい」。三重県の一見勝之知事は「残る近畿自動車道紀勢線の工事が円滑に進み、紀伊半島一周高速道路の整備が一日も早く実現されるよう、引き続き、関係者と連携し取り組みを進めていく」とそれぞれコメントした。