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社説「無投票の重み、町政に刻め」

 3回連続で無投票となった御浜町長選は、東地正登氏の当選という結果以上に、町政と住民自治のあり方を問いかけている。無投票は制度上の問題ではないにしても、住民が一票で意思を示す機会を失った事実は重い。選挙戦を通じて政策を競い、課題を掘り下げ、町の将来像を住民の前に示す場がなかったことは、地方自治の活力という面で疑問符が付く。だからこそ新たな町政には、失われた民意の表明機会をどう補うかという姿勢が強く求められる。

 御浜町は20年前に1万人あった人口が今年8月現在で7510人まで減少した。基幹産業の将来的な担い手不足、行政ニーズの多様化を直視し、第6次総合計画後期基本計画でも、2026年度から30年度までの指針として、人口減少への挑戦や住民参加のまちづくりの推進を掲げている。少子化への対応、持続可能な地域運営、産業の活力維持はいずれも待ったなしであり、計画に書き込むだけでは前に進まない。東地氏も総合計画を着実に進めることに意欲を示すが、具体策をどう実行し、結果につなげるかが問われている。
 
 議会との関係構築も大きな課題と言える。町発注の工事中止に伴う公金損失などで百条委員会が立ち上げられており、当局を厳しくただす多数派にどう向き合い議論していくか。議会との緊張関係が続くなかで必要なのは、対立の演出ではなく、事実に基づく説明と検証。不誠実な答弁や問題の先送りに終始すれば、町政は停滞し、しわ寄せは住民に向かう。議会は行政を監視し、町長は説明責任を果たす。その本来の役割を双方が踏み外してはならない。新町長として多難な船出ではあるが、自身も副町長として関わった案件であり、まずは問題解決に向け誠実な対応を求めたい。
 
 また、財政面の厳しさを指摘する声もある。町では、阿田和保育園の建設が始まり、小中学校統合校の建設を控える。事業費が40~50億円とも言われる中、資材が高騰し、国の補助率が変わらなければ町の持ち出し分が増える。厳しい財政状況が待ち構え、難しいかじ取りになるのは必至だ。
 
 現町政と同じく行政経験者がトップになる。一大イベントだった「みかん祭り」がなくなったことは、理由はどうあれ、町民には残念なこと。行政の考えを押し付けるのではなく、町民ファーストを意識してもらいたい。そのために町長が自ら地域に出向き、声を聞き、施策にどう反映したかまで示してこそ、有益な対話と言える。御浜町にいま必要なのは、波風を避ける町政ではない。住民に開かれ、議会に向き合い、結果で信頼を積み重ねる町政である。
 

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