田辺市本宮町の熊野本宮大社で7日夜、国家攘(じょう)災と国民除疫を祈る特殊神事「八咫烏(やたがらす)神事」(和歌山県無形民俗文化財)があった。熊野牛王(ごおう)宝印を浄火と聖水で祓い清め、神前に献じた後に押し初めを行う祭典。参列者約60人が拝殿で神事を見届け、神職から宝印を授かった。
神事は午後5時から拝殿で行い、修祓、祝詞(のりと)奏上の後、水と松明(たいまつ)の火で熊野牛王神符を清めた。清めの後は拝殿の明かりを消し、暗がりの中で神職が神門前に飾られた門松でできた宝印を手に「えーい」という気合のこもった声を上げ、柱に3度、宝印を力強く押捺(おうなつ)した。
九鬼家隆宮司はあいさつで「巳(み)年のように自分なりの脱皮をして、新たなスタートを切ってよい1年を過ごされますように。それぞれのお仕事の商売繁盛、また平穏が第一なので、本年もどうか平穏で、全国無事に1年間終えられるよう願っています」と話した。
続いて、この神事のみで受けられる「白玉牛王」の授与があり、拝殿いっぱいに参列者が詰めかけた。各自、手のひらに白紙の奉書紙を重ね、神職が気合を込めて一人一人に宝印を授けていった。
滋賀県から妻と訪れた前川善行さんは、今年で10年連続足を運んでいるという。「ヘビ年ということで、気持ちを新たにして脱皮するという気持ちで過ごしたい」と話した。田辺市内から来た横矢雄一朗さんは「初めて来た。人が多い初詣と違って落ち着いた雰囲気だった。宝印をもらえる機会はないので、特別感があって、記念に残りそう。ご利益がありそうです」と話した。