熊野とアイヌ、沖縄の3つに、どうもつながりがあるようなことがしばしば聞こえる。北海道に生まれ沖縄の大学へ行き、現在熊野に身を置く私としては、どこかでそれが引っ掛かっている。
そんな折、沖縄の言葉で「ウクイ」というものがあることに気が付いた。これは「送る、贈る」の意味があり、沖縄で大事にされているお盆では、先祖を送り出す最終日を「ウークイ」と呼ぶ。
さて熊野にひるがえって考えると、那智勝浦町に「宇久井」という地名が。何か手がかりがないかと、苦し紛れに那智勝浦町史(1976年発行)を開いてみると、本文は宇久井地区の項から始まっており、その一行目に「熊野は総帯に上代はアイヌ族の占拠した所である」と明記されていて驚いた。優勢民族の到来で北と南に逃げたのが、北海道のアイヌと沖縄のユタに通ずるという図式が見えなくもない。
しかし「ウクイ」をアイヌ語で調べても、なかなかヒットせず。「吹く」という意味の「ウク」、シカという意味の「ユク」という言葉はあったが、関連は不明である。調査を続けたい。情報があれば紀南新聞社樋口まで。
【稜】