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社説「統合校でも全国募集を」

 串本町にある県立串本古座高校は今春、普通科を改編した「未来創造学科」のもと、「宇宙探究」「文理探究」「地域探究」の3つのコースを設置。中でも、宇宙ビジネスに関わる人材を育てることを目指した「宇宙探究コース」は、全国の高校で初めて設けたことから、今春の第1期生7人の中には千葉や神奈川など県外からの入学生もいた。

 学校のある串本町には、日本初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」が建設され、町は「最南端のまちからロケット最先端のまちへ」をキャッチフレーズに、宇宙産業のまちづくりを進めている。串本古座高校への専門コース設置も、近い将来、地元を代表する産業への成長の可能性を秘めた「宇宙」に対し、それに携わる人材も地元から育成しようとする狙いがある。全国初という冠も魅力的。手探り状態での始動となる1期生の学習動向がさまざまな形で発信されると、その注目度は高まり、来春の2期生募集に際してはさらに多くの生徒が全国各地から集まることが期待される。
 
 この「全国募集」を令和8年度に統合を控える新宮市の新宮高校と新翔高校の新たな学校に取り入れることができないか。再編協議に関しては昨年11月、両校で生徒や保護者、地元の声を踏まえて協議した統合後の新高校に新設する学科や学習内容をまとめた構想案を、県教委に提出。県教委ではこれを精査し、具体的な検討を進めている。県教委は今回の統合について当初から、県教委主導ではなく、地元の実情や声を反映させた新たな学校に再編すると公言。構想案では、上級学校進学に向けた質の高い教育、土木建築や介護など専門教育を拡充させ地域人材の育成に力を注ぐ教育、さらに、将来の医療人材の確保のため医学部進学に特化した教育などを目指すとしている。
 
 一方で、今後も少子化が進み生徒数の減少が見込まれる当地方の状況を踏まえると、全国に向けて門戸を開くことが、学校・地域共に活力の一助になるのではないか。統合に先駆け来年度から新宮高校に新設予定の「学際探究科」(仮称)は、文理の枠組みを超えて地域の歴史やグローバル課題などについて探究する科で、時代の最先端の学びを新宮地域で提供できるとしている。定員の一部を全国募集することを検討しているとのことで、ぜひ進めてもらいたい。単なる数合わせではなく、専門学科で学びたいという意欲の高い生徒が集まれば、おのずと全体の学習レベルも上がる。当地方だからできる教育カリキュラムを組み、新宮市などの地元自治体も魅力発信に側面から支援してもらいたい。
 

      4月12日の記事

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