那智勝浦町が運営する道の駅「なち」内の温泉施設「丹敷の湯」が、閉鎖の予定が一転、4月以降も継続することとなった。住民や利用者など3000人以上の署名が陳情として3月議会に提出され、議員の賛成多数によって採択された。
慣れ親しんできた温泉施設がなくなることに対する住民の抵抗感が形となり、行政の方針を覆した一例となった。「動けば変わる」と実感できる。
さて大変なのはこれからだ。元々は1998年の開始当初から続く年数百万円規模の赤字を原因に、多額の予算がかかる設備更新のタイミングでの打ち切りを決断していた。議会では継続の予算を計上したが、道の駅全体の利活用に向けた民間コンサル料600万円は否決され、とりあえず1年間継続するための予算のみが通った。長期的な活用を考えなければならない。
議会でも指摘されていたように、閉鎖についての住民への説明不足が今回の動きにつながったのではないだろうか。本当に必要な予算や決断は、丁寧に説明と対話を行えば合意のもと進められるはず。未来を創る資源として、住民とともに検討してほしい。
【稜】