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不連続線「伝統の終焉」

 日本三大奇祭の一つともいわれる岩手県奥州市の黒石寺蘇民祭が今年で幕を閉じた。黒石寺の開山は729年、世界遺産の中尊寺よりも歴史は深く、1000年以上続いた祭りがなくなることになる。裸の男たちが蘇民袋を奪い合う勇壮な蘇民祭は地域外からも多くの人が集まるが、祭りの核を担う檀家の高齢化が問題だという。檀家は10軒ほどで、厳格なしきたりを守り続けてきた。

 天下の奇祭、勇壮な祭りということで、他人事ではない思いでニュースを見ていた。尾鷲神社のヤーヤ祭りは練りが評判を集めるが、宮座制度の親方衆が残る祭りとして貴重。勇壮で華やかな祭事と、守られ続けている神事がそろうからこそ、かけがえのない祭りとなっている。

 イベントと祭りの違いは何か、と考えることがある。イベントは人が楽しむために開くものだが、祭りには信仰が関わる。神仏や信仰を社会と言い換えれば、地域に根付いた祭りは住むまちへの愛情と誇りの発露の場といえる。失って良いはずもないが、それでも守れない現実が重い。

(R)

      2月24日の記事

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