東牟婁地方中学校相撲大会が16日にあった。中学生27人が参加。前方でカメラを構えていると、土俵外へ倒れこんで勝敗が決まった瞬間に、勝った選手が相手に「大丈夫ですか」と声をかけているのが聞こえてきた。初めて挑戦するスポーツで、慣れない環境で戦いながらも、相手を気にかけていたその姿が素直にかっこいいと思った。
自分が小・中学生だったころは、運動会などで大人から「勝ち負けが全てじゃない」と言われても、心の中では完全には納得していなかった。今もあまり変わっていないつもりだったが、その中学生を見て「結果以外のところに本質的に大事なものはあるかも」と、自分の感覚が少し変化していることに気が付いた。
倒れこんだ相手に手を差し伸べるようなシーンも見受けられた。これだけで伝統あるこの大会が続いてきた理由と意義を感じる。神話・神事に起源を持ち互いに丸腰でぶつかっていく相撲には、誰かから知識として教わる以前の、オリジナルなスポーツマン精神、認め合う性格が宿っているのかもしれない。奮闘した中学生選手たちに敬意を表したい。
【稜】