ふるさと納税は、都市部から地方への所得移転の手法であり、特に高所得者層の節税の手段として機能し、一次産業の強い自治体への補助金のような役割を果たしている。
お得な返礼品ばかりが注目されがちだが、地産の物で工夫して〝稼ぐ〟姿勢にこそ、制度としての真価がある。
ほかの自治体を調べてみると、地場産品のみならず、お墓の見守りサービス(愛知県碧南市)や空き家の見守り(岐阜県七宗町)、似顔絵でつくるオリジナル方言スタンプ(岐阜県可児市)、一日市長(香川県東かがわ市)など、画一的ではない創意工夫が見える。
例えば紀北町で考えれば、燈籠祭に飾るメッセージ付きのミニ灯籠、年末港市でのオンライン買い物、熊野古道の保全活動など、紀北町ならではのイベントと絡めながら町に来るきっかけを作れないか。
結果に結びつくことはなかったとしても、知恵を絞ることは今後の地域活性化の礎になるはず。品位を保ちながら、あえて定石を外すような奇策を考えてみてはどうか。
(R)