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社説「地元でも頑張れる環境を」

 和歌山県は南北に長く、県都の和歌山市は北端に位置し、当地方から遠く離れている。人口の関係で政治経済の中心は北部であるのは仕方ないが、県行政のさまざまな部分で"南北格差"があり、住民らは等しいサービス提供を求めてこれまでの声を上げてきた。

 県教育委員会が進める少子化による県立高校の再編では、県内のトップを切って当地方の新宮高校と新翔高校が令和8年4月に再編され、新たな一歩を踏み出す。両校の校長が先月、地域住民の意見も踏まえたという再編整備案を発表した。今回の再編では、県教委が令和3年12月に発表した指針案に基づき、両校が昨年12月に構想案を示し、今年2月には説明会を開いて地域住民の声を収集。その後、教職員や学校運営協議会で議論を重ね、県教委とも協議して一定の理解と支持を得た上でまとめたという。
 
 「一定の理解と支持を得た」という学校側の見解に対し、ある団体の関係者は「要望が反映されていない」と指摘する。少子化で近年、中学校の部活動の運営が難しく、学校外のクラブチームに所属して活動する生徒が多い。野球やサッカーなど、熱心な活動で好成績を上げ、中学卒業後の進路に県外の強豪校を選択するケースが増えている。高みを目指す上で強豪校への進学は一つの選択肢だが、この関係者は、経済面から県外への進学が難しい家庭があることも挙げ、再編校にはスポーツに特化した学科の設置を求めた。「地元で頑張れる環境を作ってほしい」と力を込める。
 
 県内唯一の体育系専門学科が和歌山北高校(和歌山市)に設置されており、スポーツを頑張りたい生徒たちが集まっている。これを当地方の再編校に設置できれば、進路の選択肢が広がるだけでなく、他地方からの生徒募集も期待できる。簡単な話でないことは分かるが、要望を受けてできる可能性を探ったのか、できないのであればその理由を説明する必要がある。学校に問い合わせると、学科設置まではいかなくても部活動の強化指定や、地元中学校やスポーツ少年団との連携などを通じて活性化を図りたいとの見解を示す。今後、教育分野での南北格差が広がらないよう、県当局はもとより住民の代表である地元選出の県議会議員にも汗をかいてもらいたい。
 

      10月 6日の記事

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