少子化の影響で当地方でも学校の統合に向けた協議が進んでいる。令和7年4月に三重県立紀南高校と木本高校、同8年4月に和歌山県立新宮高校と新翔高校、同9年4月に新宮市立緑丘中学校と城南中学校—がそれぞれ統合し、新たな学校がスタートする。
このうち、緑丘中と城南中の統合検討委員会が先日開かれ、新たな学校名について11月中に公募することを決めた。関係する学校の児童生徒と保護者のほか、市内外問わず一般からも広く募集する。寄せられた案を検討委で数案まで絞り込んだあと、最終決定に向けて進める方針だが、決定方法や時期については今後調整するという。
新たな学校は現在の緑丘中を大規模改修することになる。細部についてはこれから協議が進められるが、統合後の城南中跡地利用に関しては、検討委で当初から気に掛ける意見が出ている。特に小中学校は地区のコミュニティーの場所でもあり、学校がなくなることによる地区への影響は少なからずある。統合の議論と並行して行う必要性を指摘する委員の声を受け、市教育委員会は市長部局に対して跡地利用の検討を開始するよう進言。現在、担当課で調整している。
全国各地で、かつて子どもたちの学び舎(や)だった校舎が、地域住民の交流施設などに生まれ変わった例がある一方、用途が決まらず“空き家状態”で長い期間放置された校舎もある。解体には大きな費用負担がかかり、二の足を踏むケースもあるようだ。城南中の跡地利用に関してはまだ何も決まっていないが、校舎・グラウンドを含めて敷地は広い。これから検討を進めるにあたっては、地域の声を聞きながら有効性のあるものにしてもらいたい。
また、統合によって通学距離が長くなる生徒が増えることから、交通安全への対策も求められる。通学路の危険箇所をあらためて洗い出し、改良が必要な場所は道路管理者などと相談しながら進めるとともに、ドライバーへの周知も必要だろう。
これからさまざまな検討が行われ、一つ一つ決まっていくが、今回の2つの学校の統合では、旧新宮市内の人の流れが大きく変わる。当局には、まちづくりの一つと捉え、保護者や地域住民への情報提供は丁寧に行ってもらいたい。