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社説「選挙制度の見直しが課題」

 9日に行われた県議会議員選挙で当選した新議員48人の任期が30日から始まる。今回の選挙から定員が3減。一票の格差の是正を図るため合区が行われた。本紙エリアも「尾鷲市・北牟婁郡(定数2)」「熊野市・南牟婁郡(同)」が「東紀州」(定数3)となった。結局3人しか候補者がおらず、無投票となった。

 無投票となった要因の一つに、選挙区が広くなり、組織の後ろ盾のない候補が勝ちにくい環境になったことが挙げられている。「一人区をできるだけ作らない」という方針で合区となったが、選挙に出にくい、選挙運動・政治活動がしにくいという弊害が早速現れた形になった。
 
 5月3日は憲法記念日だが一票の格差問題は、憲法14条の平等原則が、一人一票という形式的なものにとどまらず、投票価値の平等も求められているとの解釈が元になっている。都市の発達と地方の衰退の両面で、都市部への人口集中が顕著になり、一票の格差是正を進める中で田舎ほど、広い面積を少ない議員がカバーするという構図になっている。一方で「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」(15条2項)とされるが、実際問題として、地域代表、職域代表、業界代表という要素が強く残る。
 
 憲法を改正して、例えば「定員は地域事情を考慮して決定する」などの文言を盛り込めば、格差を今ほど厳密に気にしなくて済むがハードルが高い。一票の価値をそろえつつ地方から議員を出せるようにすれば、定数を大きく増やす必要がある。
 
 半面、地方議員の成り手不足も深刻。今回あった41道府県議会議員選挙で、4人に1人が無投票当選だったという。〝普通の人〟が議員になれる仕組みでこそ多様な民意が反映される。よりよい将来のために、いろいろなレベルであるべき姿を模索することが必要だろう。
 

      4月22日の記事

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