尾鷲物産が創業50周年を迎え、小野社長のインタビューを企画した。水産業による地域活性化の可能性はあるのか、尾鷲から世界に挑む企業のトップとして何を見ているのか、聞いてみたいことはかなりあった。
インタビュー中に提示されたデータを見て、日本の水産業が活力をなくしているかを痛感した。自然を相手にする一次産業には不確定要素がつきものだが、ビジネスとして発展していくためには安定供給が必要不可欠。養殖の大規模化と生産性向上が課題だが、果たして漁業の企業化は進むのか、その中で尾鷲の漁業は生き残れるのか、不安は尽きない。
インタビューが一段落した後、小野社長が出身地である引本についてポツリ、ポツリと語ったのが印象深い。「昔は港にずらりと船が並んでいたのに、今は船がほとんどない。学校もなくなってしまって、さみしい」と。入学式の時期は少子化を痛感するが、一次産業の衰退は地方の過疎化と関わりが深く、日本は国策を誤り続けたのではないか、という思いが消えない。
(R)