和歌山県選管は今春の県議選(3月31日告示、4月9日投開票)を控え、9日に新宮市選挙区(定数1)と東牟婁郡選挙区(定数2)で立候補予定者説明会を開き、両選挙区いずれも定数と同じ数の出席者だった。新宮市選挙区は過去2回連続で無投票。今回の選挙はどうなるのか。
近年、全国的に議員のなり手不足、特に地方議員選挙が深刻で、無投票も珍しくなくなってきている。選挙は民主主義の根幹をなし、自らの意思を政治に反映させる貴重な機会。その機会が少なくなるのは政治離れを加速させてしまう可能性を秘めている。
なり手不足の要因はいろいろと考えられるが、政治への無関心が大きく関係しているのでは、その責任の一端は議員にもあるのではないだろうか。議員の仕事は大きく分けて2つ。一つは予算の正しい執行をチェックするなど行政の監視役。もう一つは住民と行政のパイプ役。地域に顔を出して住民の意見を聞き、それを1年に4回ある定例会での一般質問などで行政に対し、課題・要望実現につなげる、もしくは実現するまで発言していく事も大事ではないだろうか。住民が県政の動きを知るのは、市町村議員の動きを知る以上に難しく、何もアクションがなければ、距離は遠くなるばかりで、「姿が見えない議員」と言われても仕方ないだろう。
その解決策として一例をあげると、議員としての現状や地元に対する成果について、報告会は昨今コロナ禍でやりにくいが、広報資料の配布で行うなど(県会議員には給与とは別に、毎月政務活動費が支給されている)が大切ではないだろうか。各議員がこのような地道な仕事をすれば、県議会への関心は少しずつ高まり、住民との”距離感”も縮まり、選挙区の代表としての役割を果たすのではないだろうか。それがたとえ無投票であったとしても。
和歌山県は昨年秋、岸本周平知事が就任。知事選での公約には第一次産業の振興を掲げた。農林水産業を中心とするこの地域では期待が膨らむ。一方で、先日の新年度予算案公表の中で、県財政が大変厳しい状況にあると強調し、独自の「財政危機警報」を発令した。各施策を精査しながら必要な事業を進めていく方針だが、岸本知事は和歌山1区(和歌山市)選出の元衆院議員でこの地域への知識は、まだまだ十分ではないのではなかろうか。その知事に対し、地域の現状を伝えながら、必要に応じて現場を見てもらうなどを働きかけるのも県議の役割。県都から遠く離れた新宮・東牟婁地域また、熊野市・南牟婁郡でも、住民が暮らしやすさを感じられるような政治の流れを今回の県議選終了後には、作ってもらいたい。