身内の初盆に向けて、故人の霊を迎える準備をみんなで少しずつ進めている。祭壇を整えたり、供え物を用意したり、法事の段取りをしたり。人生においてそう何度も経験することではないからこそ、ひとつひとつを丁寧に行っていきたいものである。
初盆を迎えるにあたって人に聞いた話によると、地域によって結構違いがあるようで、さまざまな風習やしきたりがあって大変興味深い。
近年では環境保護の観点から、全国的に送り火の際に提灯などを燃やしたり川に流したりすることが難しくなってきているが、25年以上前に行った祖父の初盆では、河原に地域の人が集まってご詠歌をとなえたあと、木で作った小船に提灯やおりょうぐ、果物などを乗せて川に流していた。下流に向かってどんどん小さくなっていくその姿が何だか物悲しくて、見えなくなるまでずっと見送っていた記憶がある。
どのような形であれ、肝心なのは故人を大切に思う心。ほんの束の間、この世に帰ってきてくれた故人や先祖とのひとときを、故人をしのびながら穏やかにゆっくりと過ごすことが1番大事だと思う。
【織】