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社説「声聞く体制再構築を」

 令和4年度の一般会計当初予算の総額は尾鷲市が97億6244万5000円、紀北町は99億365万5000円。4月1日からこの予算に基づき、事業が進められる。

 尾鷲市は新年度が第7次総合計画の開始年となる。10年後の将来像は「住みたいまち 住み続けたいまち 尾鷲」。「働く場所がない」と言われる。なりわいがないと自然環境がよくてもそこでは暮らせない。加藤千速市長は3月定例会の施政方針演説で、「全庁一丸となって積極果敢に行動する」との姿勢を示したが、新年度は計画実現に向け、市長がしばしば言う「くさびを打ち込む」年にしないといけない。

 半面、活性化の切り札である、おわせSEAモデル事業については、取り組み開始から3年半が経過したものの、市民に見える形の成果がない。SEAモデル事業は、当面「新しい仕事」が創出できそうな唯一の取り組み。着実な進展が求められる。

 一方、SEAモデル事業のほか、広域ごみ処理計画、体育文化会館の耐震診断、学校給食センターなど、議会や住民から「少し立ち止まって」と、慎重な対応や一層の改善を求められている事業もある。

 紀北町も、第2次総合計画後期計画の初年度となる。予算を審議した議会は、汐ノ津呂の排水機場整備に関し「執行にあたって地域の地形や災害時の状況を熟知している住民の理解と、知恵や意見を反映することが重要」とする付帯決議を行った。

 住民は、丁寧な説明を求め、声を行政に取り入れてほしいと欲している。意見を全て反映させるのは無理だが、執行部が考えていることやその理由・根拠をきちんと説明することが、円滑な事業執行につながる。

 行政報告会はもとより、地域のイベントが新型コロナの影響で中止となり、行政幹部と住民が対話する機会が減っている。尾鷲市では、議会報告会もしばらく行われていない。

 住みやすいまちづくりのためには、住民の関わりが不可欠。目標達成に向け、住民と執行部の関係を再構築するところから進めてもらいたい。

      3月26日の記事

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