新型コロナウイルス感染拡大により、本紙エリアでは2月以降、ほとんどのイベントが中止や延期となっているが、緊急事態宣言が全国で解除されたことなどを受け、感染防止対策への基準を設けたうえで徐々に開催していく方針を示している。
しかし、年内に予定される大きなイベントはすでに中止を決定したものも多い。例えば、夏の風物詩である花火大会は今年見られない。新宮市、那智勝浦町、熊野市など、それぞれの市町で開催の花火大会は4月の時点で今年の中止を決めた。事業費の多くを協賛金に頼る特性上、早く判断する必要があった。3密を避けられないことに加え、大きな打撃を受けている事業所に例年通りの協賛を求める難しさもあり、致し方のない判断だ。
規模の違いはあるが、本紙エリアの花火大会の事業費を見ると約1600万円~1億円かかっている。このうち行政からの補助金は200万円~3300万円。今年も例年ベースで当初予算に盛り込まれていた。那智勝浦新宮道路を走る天空ハーフマラソンも大きな予算だが、中止が決まっている。このように開催予定だったイベントの事業費や補助金は支出がなくなるため、減額補正したり来年度に繰り越したりする。
以前、新宮市議会の常任委員会で提案があったが、イベント中止で支出不要となった予算をコロナ対策にまわす。感染防止対策は続けながらも疲弊した経済を再生するための活動をしていかなければならず、各事業者への支援はまだ十分でないことを考えれば、そのような対応が求められる。今月は各自治体で6月議会(定例会)が開かれるが、新たな経済支援策を打ち出しているところもある。ただし、これだけ長い期間経済の動きが鈍れば、いくら支援を受けたとしてもV字回復とはいかず、息の長い取り組みが必要だ。
行政・議会は、一定業種に偏ることなく、幅広い視野をもって現状を調査・分析し、どのような支援を行えば地域全体の再生につながるかを検討することが大切。全てが100%の給付でなくても、一定額の補助や無利子の融資制度など、事業者の努力を後押しする制度を設けることで力になる。6月議会ではそのような議論にも期待したい。