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美しい自然、次の100年へ 吉野熊野国立公園指定90周年記念式典

 「吉野熊野国立公園指定90周年記念式典」が21日、新宮市下本町の丹鶴ホールで開かれた。関係者や来賓ら約140人が出席し、節目を祝うとともに、豊かな自然や歴史文化を次の世代に継承していくことの大切さを共有した。環境省近畿環境局主催、和歌山県、新宮市共催。
 
 吉野熊野国立公園は、1936(昭和11)年2月1日に国立公園に指定された。大台ケ原・大峰山の山岳景観、北山川・熊野川の河川景観、潮岬から熊野灘に続く海岸景観など多彩な自然に恵まれ、大峯修験や熊野信仰など歴史文化と自然が一体となった特徴を持つ。

 70年には串本海中公園地区が指定され、2015年には紀伊半島南西部、23年には南東部の沿岸域へと公園区域が拡張された。現在は和歌山、三重、奈良の3県にまたがる広大な国立公園となっている。

 式典は、那智山青岸渡寺熊野修験による法螺貝立螺(ほらがいりゅうら)で幕を開けた。主催者あいさつで石原正敬環境大臣政務官は、90年にわたり豊かな自然と文化が受け継がれてきたのは、地域住民や民間事業者、行政、自然保護団体などの努力のおかげであると感謝。「100年、そしてその先へ引き継ぐためには、地域の方々と力を合わせることが何よりも重要」と述べ、さらなる連携と挑戦に期待を寄せた。

 また、宮﨑泉和歌山県知事は「山、川、海が一体となった雄大な自然環境や、世界遺産や観光資源なども含まれるすばらしい国立公園。大切に守り続け、次の世代につなげていきたい」。上田勝之新宮市長は「地域に暮らす者にとって故郷の誇りであり、未来へ引き継ぐべきかけがえのない宝。節目は、私たちが自然環境とどのように向き合い、共生していくかを改めて問い直す重要な契機」と語った。

■歴史資料に再び光

 記念講演では、奈良県吉野郡大淀町教育委員会学芸員の松田度さんが「紀伊半島・吉野熊野地域の歴史文化と自然保護について」と題して講演した。

 松田さんは、江戸時代から続く紀伊半島の自然調査や、近代の林業の発展に伴う森林伐採、自然保護思想の広がりなどを紹介。吉野熊野国立公園指定に尽力した岸田日出男の功績を取り上げた。

 岸田が残した約4000点の資料には、大正時代の植物標本や約100年前の筏流しを記録した映像など、貴重な歴史資料が含まれていたことを説明。国立公園指定後の熊野地域を紹介する約90年前の映像も上映した。

 松田さんは、埋もれていた歴史資料に再び光を当て、研究や地域での活用を進める重要性を強調。指定100周年を見据え、自然と人との関わりを見直し、貴重な遺産を次世代へ継承する仕組みづくりや、さまざまな枠組みを超えた連携の必要性を訴えた。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、地元で観光や自然保護などに携わる若手5人がパネリストとなり、地域と国立公園の未来像について語り合った。

      新宮市

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