新宮市の世界遺産・熊野速玉大社の例大祭で、国指定重要無形民俗文化財「新宮の速玉祭」2日目の16日、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ/イザナミノミコト)が神輿(みこし)と神幸船(しんこうせん)で渡御した。ハイライトとなる「御船祭」では、9地区の早船が御船島を周回するコースで競漕し、堤防区が15分13秒で優勝した。神幸船が着岸したあと、神輿で乙基の御旅所に入り、日が暮れて暗闇の中、粛々と神事を斎行。一行は静かに本社へ還幸(かんこう)し、2日間にわたる例大祭が幕を閉じた。
■ 神 輿 渡 御 式
午後2時過ぎ、御霊が遷(うつ)された神輿とともに渡御一行が大社を出発した。上野顯宮司はじめ神職と祭典奉仕者は一足早く熊野河原に向かい、神輿の一団は「わっしょい、わっしょい」と威勢の良い掛け声を上げながら、元鍛冶や別当屋敷を巡行したあと、国道42号を渡り、仲之町商店街など市内各所を練り歩いた。
■ 早 船 競 漕 は 堤 防 区 優 勝
午後4時ごろに神輿が河原に到着すると、神幸船に御霊を遷す神事が行われた。神幸船の水先案内として、下流の下札場で待機していた9隻の早船が一斉にスタート。豪快に水しぶきを上げながら、1.6キロ先の上札場のゴールを目指した。
優勝は堤防区で、令和元年以来7年ぶりの栄光に、メンバーは互いに抱き合って歓喜を分かち合った。艫(とも)取りの田中亮さんは、「漕ぎ手のみんなの力がまとまっていたのが勝因につながった。5年間も付き合ってくれた漕ぎ手、応援に来てくれいる人、漕ぎ手以外のメンバーの力も大きかった」と多くの応援や協力に感謝した。
早船競漕の後、神幸船が御船島を3周回った。諸手船では「アタガイウチ」と呼ばれる赤い装束姿の女装した男性がハリハリ踊りを舞い、御霊を御旅所に案内した。一行は、神輿を船から下ろし、列を作って御旅所へ向かった。
早船結果
【上り順位】
①堤 防
②千 穂
③春 日
④丹 鶴
⑤神 倉
⑥王 子
⑦阿須賀
⑧明 神
⑨大王地
【下り順位】
①王 子
②丹 鶴
③神 倉
④大王地
⑤明 神
⑥春 日
⑦阿須賀
⑧千 穂
⑨堤 防
■ 御 旅 所 神 事 ~ 本 社
御旅所では、神輿から御霊が杉ノ仮宮(かりみや)に遷された。夕刻の静けさの中、仮宮の前に松明が運ばれ、続いて御旅所神饌「オミタマ」が供えられた。見物に訪れた参拝者も含め誰一人声を発さない厳粛さで、上野宮司がただ一人、祝詞(のりと)を奏上。続いて全員で二礼二拍手一礼をして神徳に感謝をささげた。このあと本社へ還御し、全ての神事を終えた。
