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社説「交通の流れ変化 安全運転を」

 和歌山と三重の県境を結ぶ熊野川河口大橋を含む「新宮紀宝道路」がいよいよ7日(土)午後3時に開通する。地域待望の道路の開通で祝賀ムード一色となり、開通直後は多くの車が通行する。交通事故には十分気を付けるとともに、この道路が一般道ではなく、自動車専用道路で、歩行者や125cc以下の二輪車の通行はできないことを再度、周知徹底する必要がある。

 開通後は交通の流れが大きく変わる。現在新熊野大橋に集中している交通が河口大橋に分散される。新宮北、紀宝鵜殿、紀宝の各IC(インターチェンジ)付近の道路は信号機設置や交差点の形状変更などで様変わりしている。信号を守り通行するなど交通ルールの順守はもちろんだが、入口と出口を間違えて進入したり、本線上で停車したりしないよう、ドライバー一人一人が“初めての道路を通る”という意識でハンドルを握ってもらいたい。
 
 新宮側では、新宮北ICにアクセスする県道あけぼの広角線の交通量がかなり増えることが予想されている。インター近くには市立総合体育館(大浜)や市営墓地があり、歩行者や自転車の往来が多い。また、国道42号広角南交差点は、勝浦方面から県道あけぼの広角線に右折する車の増加し、朝夕の時間帯は右折レーンを超えて車列が続く状況になることが想定される。車間距離をとって前車の動きを注視した運転が求められる。交通量の増加は新宮市内の熊野地や蓬莱地区にも及ぶ。住宅街を通る狭い道路もあり、速度を落とし十分な安全確認が必要だ。
 
 「熊野川の河口に架橋を」と、最初に声を上げたのは地域住民だった。2002年に新宮市で住民団体「海岸道路の建設を促進する会」が発足、翌年には旧鵜殿村でも住民団体「架橋虹の会」が立ち上げられ、それぞれ署名活動を行い、関係行政機関や国会議員らに提出した。このような流れを受け、2004年には官民一体となった「熊野川河口に橋を架ける会」が発足し、決起大会の開催や要望活動を続けた。最初は“夢物語”と言われていた河口大橋だったが、地元の熱意が届き、2013年に紀伊半島一周高速道路の一部となる「新宮紀宝道路」として事業化。2017年から工事が進められていた。
 
 20年以上経て夢が実現した。地域振興や救急、防災面でも期待できる道路。交通安全や渋滞への対策など、開通後に見える課題もあるだろう。関係機関はその都度対応し、安全安心に利用でき、地域の発展に欠かせない道路になることを願いたい。
 

      12月 6日の記事

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