昨年の出生数が80万人を切った。明治32(1899)年の統計開始以来初めてのことという。「消滅可能性自治体」という言葉が大きく取り上げられた時の推計の見込みより早く80万人を下回った。もっとも、新型コロナの影響が大きいと分析されており、今年または来年、再来年にかけて増える可能性は高そう。
政府は「異次元の少子化対策」と言っているが、少子化問題が大きく取り沙汰されたのは平成2(1990)年の「1.57ショック」。前年の合計特殊出生率が過去最低の1.57となり、その後、平成6年に、いわゆる「エンゼルプラン」が策定され、子育て支援施策の基本方針が打ち出されている。30年間、しっかり取り組めていなかったのではないか。
人口減による社会の縮小に対し「人口を増やさなければならない」と考えるのは自然なことだが、一方で、縮小均衡を図るという考え方もある。子育て支援の充実は必要だが、津村県議が代表質問で指摘していたように、「子どもの数が減っても社会が持続するようにシフトしていく方がいいのか、もう少し議論すべき」タイミングになっているのかもしれない。
(M)