烏止野神社の例大祭で関係者と話している中、「だんだん続けていくのも大変になっている。(コロナ禍で)やらないとやり方も忘れてしまう」「地域の伝統行事なので続けていかないと、信仰が薄れてしまう」「子どもたちが楽しみにしている。やめるわけにはいかない」などの現場の声をいただいた。聞くと、例大祭でお酒を奉納した人の名前を載せる掲示板は、かつて3枚横並びであったという。現在は1枚でも空きがある。
コロナ禍でなければ神輿(みこし)や山車(だし)でにぎわう例大祭。今年は本来の形でできるかと思った矢先、感染者数が増え、規模縮小を決めた。地域の信仰にとって「対面で集まれない」というのは大きな打撃と見受ける。神様はそろそろ驚いてはいないだろうか。子どもたちの記憶に、このお祭りのことは残るだろうか。
それでも、今年も児童が立派に巫女舞を奉納した。確かな信仰の継承に、温かいものを感じる。人と自然がつながりを保っている熊野の地域で、地元のお祭りが守ってきたものの役割は大きい。か細くても信仰の火を絶やさぬ方法を、産官学含め地域全体で考えなければいけない。
【稜】