尾鷲商工会議所の役員が一新し、伊藤前会頭が12年間背負ってきた重責は北裏新会頭に引き継がれることになった。三田火力発電所の廃止や新型コロナウイルス感染拡大などの激動の中、道の駅や石炭火力発電など夢に終わったアイデアもあったが、コツまみバルやおわせマルシェなど、積み上げていったものが確かにある。
尾鷲は漁業や林業が注目されているが、商業のまちとして栄えてきたことは今後の地域活性化を進める上でも忘れてはならない。地方の人口が減少し続けたとしても、やはり足が届く範囲にある程度の商業施設は必要。松阪と新宮との間、尾鷲が東紀州随一の都市という自負は捨てるべきではない。
商工会議所は積極的にECやインターネット販売などの実務で役立つスキルを学ぶ研修会を開いている印象がある。もっと積極的にやっていくべきであるが、同時に経済や経営の基礎的な部分を学ぶ場があれば、と思う。地理的条件や南海トラフ地震のリスクを考えると、尾鷲は企業誘致よりも今ある事業者を育成し大きな企業に育てていく方が合理的ではないか。このまちの事業者が力強く尾鷲を支えていけるような取り組みを期待したい。
(R)