政府が今国会で成立を目指している刑法改正案。その柱の一つが誹謗中傷などを罰する侮辱罪の法定刑引き上げで、「30日未満の拘留または1万円未満の科料」から「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」に改正しようとするもの。
SNSの普及等によって誹謗中傷の深刻な被害が顕在化し、会社の営業に支障をきたしたり、被害者が自らの命を断ってしまう事案も発生するなど、深刻な社会問題となっているが、その刑罰が明治時代から変わっておらず、被害者が亡くなる重大な事案も生じても、刑法の中で最も軽い罰則しかないことが問題視されてきた。
インターネットサービスプロバイダの大手・ビッグローブが実施した調査によると、SNSを利用している20~60歳代の男女770人のうち、17・5%が「SNSで他者から誹謗中傷されたことがある」と回答している。
匿名性が助長しているようだが、匿名の投稿でも発信者は特定でき、罪に問われたり、高額の慰謝料を請求されたりすることがある。
自分が言われたらどう感じるか、記名で堂々と投稿できる内容なのか。勢いで投稿したりせず、一息おいて見直すような習慣も必要。
(J)