新型コロナウイルス感染症の流行下、しかも緊急事態宣言の中で行われている三重県知事選(9月12日投開票)は新人3人の争い。このうち1人は期間中に街頭演説は行わないとしているが、残る2人は南北に長い県内をめぐり支持を訴えている。ただし、やはりコロナ禍の選挙戦のため、狭い会場での集会や街頭での握手などは控え、演説の際も周囲との間隔に気を配りながらという難しさはあるが、SNSも使いながら主張を伝えるなど、これまで以上にネットを駆使しようとする姿勢が見える。三重県知事選に限らず、コロナ禍の選挙戦でネット戦略は欠かせないツールとして、これから当地方で予定される地方選挙でも注目を集めそうだ。
新宮市長選(10月17日告示、24日投開票)まで残り2か月を切った。現職に前市議と市議が挑む三つ巴の構図になると思われるが、選挙ムードが高まるかと思いきや、先月末から新宮保健所管内でも感染者の発生が止まらず、市長選が近づいていることすら意識から遠のいている市民も少なくない。一方で、立候補を予定する各陣営は、自らの政策を市民に浸透させる大切な時期であり、精力的な動きを見せるものの、やはりコロナ禍によって戸別訪問や集会の開催もいつも通りとはいかず、感染防止対策を意識しながらそれぞれが慎重な姿勢だ。
都市部の選挙であれば、コロナ禍で一気にデジタル化が加速するだろうが、当地方で見るとデジタル一本では難しいだろう。若い世代に向けては、ツイッターやライン、フェイスブックなどSNSを有効に活用するのが近道だが、高齢者世代に対してはこれまで通り、アナログ的な活動も並行して行う必要がある。
今年実施された全国の市区長選挙ではコロナの影響で過去最低の投票率が相次いでいる。その要因としては、投票所での感染リスクを懸念して投票を控える有権者が増えていると見られるが、各自治体の選管では、鉛筆を使い捨てにしたり、記入スペースをその都度消毒したり、混雑時に入場制限をかけたり、投票所内の感染防止対策を徹底することで投票率アップを目指す。これから選挙を控える当地方の各選管も、しっかりと考えることが必要だ。
有権者には、4年に1度の"考えるきっかけ"、またコロナ禍においての立候補者の政策や考えを聞いたり見たりして、私たちの一票が自分たちの未来を切り開くと信じ、投票行動に移してもらえることを切に願いたい。