新宮市立緑丘・城南中学校のクリーン作戦に同行した。それぞれの校区内のごみを生徒が拾い集めて、まちをきれいにした。街中のそのごみの多さに生徒たちは驚くとともに憤っていた。「自分の住むまちにごみを捨てないで」と強く訴えている。
1980年代から90年代にかけて、米ニューヨーク市では犯罪が伝染病のように広がっていた。平均して年に2000件以上の殺人事件と60万件以上の重罪事件が発生していた。1990年代の初めと終わりでは、重罪事件の発生は75%も減る。何があったのか?地下鉄の落書き清掃作戦が徹底して行われ、公共の場所でのごみのポイ捨てなどの「生活環境犯罪」を厳しく取り締まるように。これにより市内の犯罪は激減したのだ。
この劇的な成功を支えたのは、犯罪学者が発案した「割れた窓理論」。落書きや風紀の乱れなど、比較的些細な問題のすべてが“割れた窓”と等しく、深刻な犯罪の呼び水となるという。
環境を壊すのも守るのも人間。汚れたまちで心の平静を保てるだろうか。伝染病の温床にもなる。環境の衛生は心身の衛生につながる。
【茂】