「ただいま、おかえりを言い合えるまちに」。新型コロナウイルスをめぐる誹謗(ひぼう)中傷や偏見に歯止めをかけようと、松山大学の研究者らが提唱した「シトラスリボン運動」が愛媛県内で行われている。
地域、家庭、職場または学校の3つの場所を輪で結ぶリボンで、色はミカンの産地愛媛県にちなんだシトラス(柑橘類)カラーの黄緑色。そのリボンを軒先や店先に付けてもらうという活動。
感染症はうつさない、うつらないが大前提だが、感染して治癒した後は、地域の中で日常生活が送れることも大事になる。
患者探しをはじめ、感染者の家への投石や落書きも。感染した人もかかりたくてかかったわけではなく、本人が一番つらいのにまるで犯罪者扱い。「いつかはかかると思うが、一番だけは避けたい」の言葉が象徴しているが、感染は決して他人事ではない。
感染者やその家族に対する差別的な扱いは全国的なようだが、地域や大切な人間関係に不安や混乱を増長させてはコミュニティーが崩壊するだけで、何のプラスにもならない。シトラスリボン運動が広がり、安心して治療し、治った後は社会復帰ができる。そんな地域であってほしい。
(J)